これで残るは末っ子のみとなった。
三男を見送った後、家に帰ると父の姿。扉を開けると同時に、俺に寂しそうに話し
かけてきた。
「寂しくなったねー」「もういやだー」「小さいまま、うるさいほうがよかー」と元
気のない声。
俺自身、胸が熱くなった。
父は、俺以上に寂しいだろうなー。
孫が一人減り、二人減り、そして三人目。あと三年したら、孫がみんないなくな
る。
俺は何かあれば鹿児島に行くことで会える。だけど、足の悪くなった父は、簡単に
は会いに行けない。
子どもが旅立つたびに、自分の判断は正しかったのかと思うけど、子どもの将来の
ためと思い、背中を押してあげるしかなかった。
まるでライオンが子どもを谷に落とすように。
あーそういえば、この気持ち、昔も味わったな。
子どもを初めて保育園に預ける時。
保育士に抱かれながらも、両手を伸ばし、涙ながらに訴えてたあの姿。
ものすごくつらく涙が出そうだった。
「やっぱり連れて帰ろうかなーかわいそうだー」
と思いながらも車を走らせた。
それから数日たつと、自分から園に入り「バイバイ」と手をふる我が子。
「あれ、いいの」と思いながらも、親ばなれの一歩に驚かされた。
あれから数年。
今は彼女とのメールに忙しい我が子。
子どもは間違いなく大きくなり、頼もしくはなっている。
三男が、高校入学のため鹿児島に旅立った。