つい三月まで家中が嵐のように慌ただしかった。
屋久島の中でも、たくさんの別れ、そして旅立ちがあった。
子供が親ばなれする第一歩。
高校進学、就職のため、島、そして友達、親に別れを告げる。
ふと目を閉じれば、長いようで短かった子供と過ごした時間。
お母さんたちは、朝早くから夜遅くまで、自分の時間を犠牲にしてきた。
子供中心で流れた家族の時間。
食事を「今日何が食べたい」と毎日のように聞いていた日々。
汚れた洗濯物を見れば「こんなに汚して」と言いながらもたくさんの洗濯物をこな
した日々。
家に帰ってきて、勉強机に座っても進まない勉強。
もうすべてが思い出となり、戻ることができない時間。
今、子供も旅立ち、ゆっくり流れる夫婦二人だけの時間。
そこが原点なのに、何かさびしい。
家の中がポカンと空いたような感じで、夜がまた長く感じる。
食事、洗濯をするにしても、何か元気が出ない。
思う事は「これからどうしようか…」今まで自分の事は我慢してきたのが、ある日
から時間を持て余す。
子供が一人立ちする事はうれしい事なんだけど、何かさびしい。
こんな思い、どの親も感じてきているのだろう。
今、楽しみといえば、島を出て行った子供からの連絡。
「○○がほしい」「今日何があった」
何だかんだ言いながらも「仕送り」をしているお母さん達。
いくつになっても親からすれば子供は子供。
子供の喜びが親の喜び。
子供の悲しみが親の悲しみ。
子供が頑張ってくれれば親も頑張れる。
親と子供、いつまでも二人三脚。
子供たちよ、一歩一歩目標に向かっていってほしい。
そしてまた元気な姿で帰っておいで。
みなさん、もう慣れましたか、夫婦二人の生活。