今年ももうすぐ終わり。

良い事、悪い事、たくさんあったけど、思い出すのは嫌な事ばかり。
この一年間、たくさんの人の別れに携わってきた。
・誰にも別れを告げずに一人寂しく旅立っていった人。
・まだ幼い子供と愛する妻を遺し、人生半ばにて旅立ったお父さん。まだこれか
ら、子供の成長を身近に感じながらたくさんの思い出を作っていくはずだった。
・老いた親を遺して先立った子供。いくつになっても親からすれば子供は子供。代
われるものなら代わってあげたかった親の苦しみ、そして思い。
・老若男女、何も関係なく訪れるのが死なのだ。
人間は忘れる動物。それは薄情のようで大事なこと。生きていく人間、悲しんでば
かりはいられない。生きていかなければいけないのだから、しかたがない事。
○○さんは亡くなったけど、いつだったかは思い出せない。今年の始めに亡くなっ
た人は、あの日、あんなにつらく涙を流したけど、今は遠い昔の事のように感じる
のが現実。
でも、自分の大切な家族が亡くなった人は違う。あの日から、時は止まったまま。
葬儀の時は、家族みんな、そして親族、近所の方々が集まってにぎやかだったけ
ど、日が経つにつれ一人帰りまた一人、そして孤独を感じる。世の中は何事もなか
ったかのように時間は流れていく。あんなに狭く感じた家の中も、今はものすごく
広く感じる。今は亡き愛する人の遺影の前に座り、あなたを見つめる。「今どこにい
るんだよ」「私もいっしょにつれていってくれよ」といろんな事を思い出す。
今年の始めは、元気だった姿がいつもの場所にいてくれた。今はポカンと空いて、
冬の寒さが身にしみて、寂しさと悲しさがよみがえる。「今年ももう終わり。これか
らはあなたのいないこんな寂しい正月を過ごすことになるなんて…」涙が流れ落ち
る。
このひとりごとも、家族みんなで回し読みしてくださっている人も多いみたいだ。
その瞬間、その時も幸せ。今ある家族の笑顔そして温もり。今ある幸せを感じてく
ださい。そして、今年亡くなった人の思い出を思い出したなら、遺された家族に一
言でもいいですので声をかけてあげてください。ありがとうの感謝の気持ちを込め
て。

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