職人さん ありがとう

年末注文した「仏衣箱」を入れる木箱が届いた。
仏衣箱は、故人の衣類や身支度の品が入っている紙箱です。
私は最後大切な人に使う品物だから、紙箱に入っているのがいやだった。
そのため、好きな屋久島で亡くなられたのだから、屋久杉の木箱に入れて持ち運び
たいと発注をかけた。
当然、またにいう特注です。
それが年末、Nさんから届けられた。
Nさんが持ってきてくださった袋を開けると、屋久杉の香りが私を包み込んだ。そ
して、私は絶句した。
「屋久杉のすばらしい木目の箱なんだ」
これは品物と簡単にいえるものではない。
「作品」「芸術品」だと驚かされた。
口からは「すばらしい」の言葉とうなり声しか出なかった。
木目もすばらしいが、組み合わせ方に職人の技を見ることができた。
また、ふたを開けやすいように丸く加工されており、職人の、使う人への心づかい
に心打たれた。
私は、この作品を通して、作っている姿が目に浮かんだ。
Nさん、今回も心を打つ作品を作ってくださいまして、本当にありがとうございま
した。
私もNさんの心に負けないよう、ご葬家に心を届けるようがんばります。
Nさんありがとうございました。
小てつの死
平成 25 年1月 12 日夕方、一本の電話。
「小てつが死んだ…」
家の近くで道脇に車にひかれ横たわっている姿を発見した。
かけつけると、ダンボールの中に寝ている姿の小てつ。
身体をさすりながら、下を向き、涙を流す三男。
別の猫をかかえこみ、目を赤くしながら泣いている四男。
「ついにこの日が来てしまったか…」悲しみと現実が込み上がってきた。
小てつは以前、四男が拾ってきた小猫のうちの一匹。職人さん ありがとう年末注
文した「仏衣箱」を入れる木箱が届いた。
仏衣箱は、故人の衣類や身支度の品が入っている紙箱です。
私は最後大切な人に使う品物だから、紙箱に入っているのがいやだった。
そのため、好きな屋久島で亡くなられたのだから、屋久杉の木箱に入れて持ち運び
たいと発注をかけた。
当然、またにいう特注です。
それが年末、Nさんから届けられた。
Nさんが持ってきてくださった袋を開けると、屋久杉の香りが私を包み込んだ。そ
して、私は絶句した。
「屋久杉のすばらしい木目の箱なんだ」
これは品物と簡単にいえるものではない。
「作品」「芸術品」だと驚かされた。
口からは「すばらしい」の言葉とうなり声しか出なかった。
木目もすばらしいが、組み合わせ方に職人の技を見ることができた。
また、ふたを開けやすいように丸く加工されており、職人の、使う人への心づかい
に心打たれた。
私は、この作品を通して、作っている姿が目に浮かんだ。
Nさん、今回も心を打つ作品を作ってくださいまして、本当にありがとうございま
した。
私もNさんの心に負けないよう、ご葬家に心を届けるようがんばります。
Nさんありがとうございました。真っ黒で、メスなのに元気いっぱいの暴れん坊。
六匹いた猫も、二匹は別の家に引き取られ、もう一匹(チビ)は身体が弱く、うち
に来てから数日後、死んでしまった。
その時もつらい別れがあったが、今回、それ以上につらい事となった。
「死」に「差」があるわけではないのだが、これまで過ごしてきた思い出が涙と一
緒にあふれてきた。
数分後、身体をきれいにふいた後、以前なくなったチビの隣に埋めてあげることに
した。
穴掘りは子どもたちにさせた。私が掘るより育ててきた子どもたちに死という現
実、飼い主の責任を分かってもらうためにやらせた。
その後、穴の中へ小てつを入れ、寒くないようタオルをかけ、お腹がすかないよう
たくさんのえさも一緒に入れた。
そして、一番の育て親である四男が石に「小てつの墓」と書き、つらい作業を終え
た。
墓の前で立ちつくす子どもたちに、親の役目を果たすため優しく話しかけた。
「小てつは死んでしまったね。『誰がひいたか』と、犯人を探すことが大切ではな
い。ひいた人の責任ではないのだから。だれの責任でもない。
猫を飼う上で、ありえる事なんだよ。人間でもそう。じいちゃん、ばあちゃん、お
とうさん、おかあさん、兄弟、そしてまわりのみんな、いつ死んでしまうか分から
ない。
それが、今回みたいに今日かもしれない。別れは突然来るんだよ。だからこそ、一
日一日、大切に生きなければいけない。
小てつとの別れはとてもつらい。小てつはたくさんの思い出を残してくれた。小て
つと過ごした日々、楽しかったでしょう。だから小てつに感謝して、『ありがとう』
と言いなさい」
子どもたちに伝えた事は、いつもお寺さんが法話で話してくださる内容であり、そ
れを小てつの死によって伝える事になるとは思わなかった。
この世の中、たくさんの命がある。
その命は、別の命のために消えていく。だからこそ、生かされている命、大切にし
なければいけない。
今回、小てつの死によって、子どもたちは「命のはかなさ」「命の大切さ」を知る事
になり、まわりに対して「感謝」し優しくなれると思う。
小てつ、たくさんの思い出ありがとう。

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