長男が里帰りした。

久しぶりに会った息子は、さらにたくましくなっていた。
そう、息子はもう 21 歳。
東京に行き、早いものでもう三年目を迎える。
顔つきや口調を聞いていると、俺に似てるなと思うところが多々ある。
違うのは、はりのある身体と、溢れ出る生き生きとした生命力を感じることだ。
今回は、祖父が入院していることもあり、長期の休みをもらい手伝いに帰ってき
た。
うちの会社も人手不足でもあり、免許を持ち、気兼ねなく使える息子はありがたか
った。
仕事の中で、息子と二人配達に行く時間も多かったし、その時間を大切にした。
息子は、城西高校の調理科を卒業後、東京のラーメン店に就職したが、アレルギー
が出て一年で辞めた。
今はコンビニで働き、生計を立てている。
親としては将来につながる仕事をしてほしいけど、息子本人が考え、働いているか
ら、それ以上の事は言えないし、また、仕事の中でこれだと光る何かを見つければ
いいかなとも思った。
そんなある日、息子が「俺、花屋になろうかと思う」との言葉。
本人の中では以前から弟に申し訳ないという気持ちがあったみたいだ。
中学時代、二男と跡継ぎの話になり、二男が跡継ぎとなり、長男本人は料理人の道
を行くと決めた。
二男は保育士になりたかった夢を諦めた。
親の引いたレールを進み、当然壁にぶつかり、悩んでる姿が兄としては申し訳なく
思っていた。
そして、一番の理由としては、自分自身、料理の世界では通用しないと悟ったの
だ。
そして俺は息子に言った。
お前が料理の道へ行きたいと城西高校に行き、そして東京に就職したけどだめだっ
た。
料理の道へと進み、挑戦して、自分には無理だとわかったのであれば無駄ではなか
ったし、そして、あきらめもついただろう。
でも今度、花屋の道へ進むのであれば、妥協は許されない、厳しい道。
弟は同じ道を進んでるわけだから、弟以上に努力し技術を身につけなければいけな
い。
もし妥協すれば、兄としてのメンツと信頼をなくすことになる。
それに、この道を進んだからといって、この数年後に技術を身につけ帰ってこれる
かわからない。
誰が跡継ぎとか社長とか、まだまだ先の話だ。
それに、そんな小さな話よりこの仕事をもとに兄弟でもっともっと視野を広げ、夢
を広げてほしい。
お父さんも兄弟がいればと思う事がよくあった。
自分にもしって事があった時、親に申し訳ないとよく考えていた。
それより、まず弟達に自分の気持ちを伝える事が一番大切だよ。
数日後、その話を聞いた三男がぼそっと言った。
「兄貴、何考えてるんだろうか」
弟からすれば、自分たちの人生の先輩である兄が仕事が定まっていない事、料理の
道から花屋の道へ変わった事が、同じ料理の道を目指している弟としては納得がい
なかなったんだろう。
現実にぶつかり、新たな道を模索中の兄。
これからの道に夢や希望がふくらみ、妥協が理解できない弟。
今、子供達は目標を持ち、歩み出し、大人になっていく姿が、親として、たくまし
く見え、うれしかった…。
人生何度でもやり直せる。
一度きりの人生。
さあ、一歩を踏み出そう。
私も 45 歳になりました。
もう 45 歳ではなく、まだ 45 歳の心で、夢を現実に変えていきたいです。

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